家設計クリップ 建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545)


建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545)
建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545)

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美しい新書
現代建築家の建てた住宅建築集の本。カラー面が多く、たくさんの写真を収容している。建築コレクション本というと、よくて数千円、万を超えるものも珍しくないのに、新書とはいえ、よくぞ1000円台前半で収めたという感じ。個人的に住むのはどうかと聞かれると「うーん」という感じだが、どの家も見る分には十分に美しい。とりわけラインの優美さに惹かれる。一番最初に出てくる著者・難波和彦の「箱の家」は、吹き抜けと深い庇を大胆に生かした直線がいい。ほかに紹介されている中で小さい家が良かった。部屋を小分けにしてあえて小ささを強調した家など、小ささを隠すのではなく積極的に楽しもうとする建築家のセンスが光る。そんな中で安藤忠雄の「住吉の長屋」はやはりいい。

装丁はあえてPHPの定形を破っているが、定形よりも美しい。ある程度、住宅建築のトレンドも知ることができた。「建築ってデザイン」と、感じさせてくれる一冊。

住宅設計の臨界
現代住宅において実践された41の試みを、3人の建築家が的確に描写する。

住宅設計における信じられないほどの厳しい制約の中、社会との切った張ったの問答の末に作品を結実させ、その社会的可能性を問うた建築家達。

新書ということで、専門知識を一般に開く形で書かれているので読みやすい。値段が新書としては少し高めだが、それは1つの作品につき4枚の写真(その多くはカラー)が付いているからだろう。ただ、それぞれの写真は選び抜かれており、コストパフォーマンスは決して悪くない。明解な図面もとても参考になる。

基本的に章ごとに筆者が入れ替わる構成で、3人とも文章はクリアーだが、その中でも文章がもっとも安定しているのはやはり難波和彦だろう。ギリギリのところでクリシェとなった表現を避け、そして美学的レトリックにもアイロニーにも走らずに、個々の仕事の広い意味での「工学(≒諸力のせめぎ合い)」的な可能性を丁寧に読み解き言語化している。新書に相応しい良心的な文章である。

ところで昨今の新書ブームのなか、建築家による新書が少ないのは何故か。建築業界内では依然として大量の本が出版されているのに、新書という形式を採る事が少ないのはやはり残念である。新書というのが、各々の専門分野固有の知を他分野の人々と共有するという試みであるのなら、まさしくそれは建築家が目を付けるべき知の形態だろう。この本はその契機となってもいいのではないか。







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